SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは
SDGs（持続可能な開発目標）の中で、目標3は「すべての人に健康と福祉を」を掲げています。この目標は、全ての年齢層の健康を確保し、福祉を向上させることを目指しています。具体的には、子どもの死亡率の削減、感染症の撲滅、非感染症疾患の予防と治療、また、交通事故のリスク低減など、多岐にわたる課題に取り組むことが求められています。
目標3の背景と意義
近年、世界中で健康問題が増加しています。特に途上国では、栄養不足や感染症、衛生環境の悪さなどが原因で、多くの人々が健康を害しています。一方、先進国では、生活習慣病や高齢化に伴う健康問題が増えてきました。このような背景から、健康をテーマにしたSDGsの目標3は、全ての国での健康の向上を目指しています。
具体的な達成目標と実現方法
目標3の中で具体的に掲げられている達成目標は多岐にわたります。例えば、2030年までに新生児と5歳未満の子どもの死亡率を大幅に削減すること、エイズや結核、マラリアなどの感染症を終息させること、また、交通事故による死亡と傷害を半減させることなどが挙げられます。これらの目標を達成するためには、国際的な協力や技術の移転、資金の供給などが必要となります。
目標3が掲げられた背景
子どもの死亡率の問題
世界中で毎年数百万人の子どもたちが5歳未満で亡くなっています。その主な原因は、栄養不足、感染症、不潔な飲料水や衛生環境など、基本的な生活条件の欠如に起因しています。特に途上国では、これらの問題が深刻で、多くの子どもたちが必要な医療やワクチン接種を受けられずに亡くなっています。このような背景から、SDGsの目標3では、子どもの死亡率の削減を重要な課題として位置づけています。
予防・治療のできる感染症の現状
エイズや結核、マラリアなどの感染症は、多くの人々の命を奪っています。これらの病気は、予防や治療が可能であるにも関わらず、途上国では適切な医療が受けられないために、多くの死者を出しています。また、新型のウイルスや抗生物質耐性菌の出現も、感染症の撲滅を難しくしています。SDGsの目標3では、これらの感染症の終息を目指して、国際的な取り組みを強化しています。
非感染症疾患（NCDs）の影響と課題
非感染症疾患（NCDs）は、心疾患、糖尿病、がんなどの病気を指します。これらの病気は、生活習慣や食生活、遺伝的要因などが影響して発症します。近年、先進国だけでなく途上国でも、これらの病気による死亡者が増加しています。SDGsの目標3では、NCDsの予防と治療を強化し、健康寿命の延伸を目指しています。
世界の取り組み事例
シーメンスグループの活動
シーメンスグループ（ドイツ）は、インフラが不十分なために病院へのアクセスが困難なコミュニティのサポートをしています。ドイツ企業のソーラーキオスク、ヨルダン保健省と協力し、ヨルダンのシリア難民の人口が多い地区で太陽光を活用したエネルギー自律型プレハブのクリニックを立ち上げました。
ビル＆メリンダ・ゲイツ財団の活動
ビル＆メリンダ・ゲイツ財団（アメリカ）は、健康や教育、貧困削減などの分野でのプロジェクトを支援しています。特に健康分野では、マラリアや結核、ポリオなどの感染症の撲滅を目指して、研究やワクチン開発、医療インフラの整備などのプロジェクトを支援しています。このような取り組みにより、多くの地域で感染症の拡大が抑えられ、生存率が向上しています。
アストラゼネカの「ヤングヘルスプログラム」
アストラゼネカ（イギリス）は、若者の健康を支援する「ヤングヘルスプログラム」を展開しています。このプログラムは、若者の健康リスクを低減するための教育や啓発活動を行っており、特に生活習慣病の予防や性教育、メンタルヘルスのサポートなどに焦点を当てています。多くの国で展開されており、若者の健康意識の向上や生活習慣の改善に貢献しています。
ヘリウム・ヘルス社の医療テクノロジー
ヘリウム・ヘルス社（ナイジェリア）は、アフリカを中心に医療テクノロジーの提供を行っています。特に電子カルテや診療記録のデジタル化、遠隔診療のサポートなど、医療の質と効率を向上させるソリューションを提供しています。これにより、医療情報の共有や診療のスピードアップが実現し、患者の治療結果の向上に貢献しています。
日本の医療・介護業界の取り組み事例
東京北医療センター
東京北医療センターでは、センター内にSDGs部会を設立し、課題解決に向けての取り組意味を行っています。
今回ご紹介するのは、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の取り組みとして、周産期医療の充実、糖尿病の予防やアルコール依存症の対策や予防など、地域住民への啓蒙活動を実施しています。
社会医療法人博愛会グループ
北海道で医療・介護事業を展開する社会医療法人博愛会グループでは、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の取り組みとして、地域住民への交通安全リフレクターの配布を行っています。これは、SDGs目標3ターゲット6の交通事故による死者数を半減するための取り組みの一つです。
社会福祉法人恩賜財団済生会の活動
済生会は40都道府県で法人運営をしている大規模な社会福祉法人です。済生会のSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の取り組みは、高齢者、障がい者、児童及びホームレス、刑務所出所者などの生活困窮者に対し、包括的・継続的なサービスの提供を行っています。患者、利用者、地域、行政、各種団体とのつなぎ役として独自の職種である「済生会地域包括ケア連携士」を育成して包括的なサービス提供体制の構築を行っています。
今後の展望と課題
SDGs目標3の達成に向けた挑戦
SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成には、まだ多くの課題が存在します。特に途上国では、医療インフラの整備や医療従事者の養成、薬やワクチンの供給など、基本的な医療サービスの提供が求められています。また、先進国でも、高齢化に伴う医療ニーズの増加や生活習慣病の予防など、新たな課題が浮上しています。これらの課題を乗り越え、目標3の達成に向けて、国際的な連携や技術の共有、資金の供給などの取り組みが必要となります。
最後に
今回の記事では、医療・介護業界の社会的取り組みを簡潔にまとめてご紹介させていただきました。
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