「保険外併用療養費制度ってなに?」「健康保険に対応していない費用をサポートしてくれる制度はないの?」と考えている方もいるでしょう。保険外併用療養費制度とは、健康保険の対応外となる特定の医療処置の一部を負担してもらえる制度です。本記事では保険外併用療養費制度について詳しく解説していきます。
保険外併用療養費制度とは
健康保険が対応しない特定の医療処置、つまり保険外診療を受けると、医療費は完全に自己負担となります。ただし、例外的に、厚生労働大臣が指定した「評価療養」、「患者申出療養」、および「選定療養」については、保険診療と併用が許可されているのです。
上記の治療の一部(診察や検査、薬物処方、入院費など)については、通常の保険診療と同じく一部は自己負担となります。しかし、残りの部分は「保険外併用療養費」として、健康保険から支給されるのが特徴です。
また、被扶養者の場合、保険外併用療養費に関する給付は「家族療養費」として支給されます。
保険外併用療養費制度は、患者の医療費の負担を軽減し、経済的な負担を和らげる役割を果たしています。
【評価療養】
先進医療(高度医療を含む)
医薬品の治験に係る診療
医療機器の治験に係る診療
薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用
薬事法承認後で保険収載前の医療機器の使用
適応外の医薬品の使用
適応外の医療機器の使用
【選定療養】
特別の療養環境(差額ベッド)
歯科の金合金等
金属床総義歯
予約診療
時間外診療
大病院の初診
小児う触の指導管理
大病院の再診
180日以上の入院
制限回数を超える医療行為
出典:全国健康保険協会
【患者申出療養】
患者申出療養とは、患者が精神的な医療を希望した際に、医師が安全性や有効性を確認し、身近な医療機関でスムーズに受けられるように体制を整えてくれる制度のことです。結果的には保険適用となるように考えられていますが、今はまだ対象外となっています。近い将来、保険対象外となる可能性があるため、先進医療を受けることを考えた際は確認しておくと良いでしょう。申し出る際は、まずはかかりつけの医師や身近な医療機関で相談することが重要です。
保険外併用療養費制度の具体例
「保険外併用療養費は具体的にどのような場面で利用できるのか知りたい」と考えている方のために、ここからは具体例をご紹介します。どのような場合で利用できるのかあらかじめ知っておくことで、いざ必要になったときにスムーズに申請できるでしょう。
・歯科治療の一部
基本的に歯科治療では、健康保険の対象外となる材料を使用したり、治療を行ったりした場合は、自由診療にあたるので全て自己負担になります。しかし、前歯の鋳造歯冠修復や金属床総義歯などの場合は、健康保険で認められている範囲のみ、差額を支援してもらえます。
ちなみに健康保険の対象となる歯科治療は以下の通りです。
充てん
鋳造歯冠修復
(インレー等)
前装冠
金属冠
継続歯
(つぎ歯・さし歯)
ジャケット冠
ブリッジ
有床義歯
(入れ歯)
・先進医療を受けるとき
先進医療を受ける時も保険外併用療養費制度を利用できます。例えば大学病院や特定機能病院などで先進医療を受けたときは、入院料や薬代などを一部負担してもらえます。ただし、すべての先進医療に保険外併用療養費制度を利用できるわけではありません。中には保険外併用療養費制度対象外となっている先進医療もあるので、事前に確認しておきましょう。
先進医療とは
先進医療は、最新の医療技術や治療法を用いて、患者の健康状態を改善し、疾患を治療するための高度で革新的な治療のことをいいます。先進医療には、新しい治療薬や外科手術、医療機器、診断技術、遺伝子療法、再生医療、ロボティクスなど、医療分野での最先端の科学技術が挙げられます。
また先進医療は、標準治療が効果的でない場合や難病、希少疾患、高度なケアが必要な病気に対して特に重要とされるものです。例えば、癌の精密な遺伝子解析を通して個別化された治療法を提供したり、臓器移植、再生医療、または高度な外科手術を行ったりできる場合もあります。
ただし、先進医療は高コストであることが一般的で保険適用外の場合が多いため、費用の面でも検討が必要です。そのため、先進医療を受ける際は医師としっかり話し合いながら決めなければいけません。このような時に活躍してくれるのが「保険外併用療養費制度」です。治療内容や費用面について椅子と話し合う際に、保険外併用療養費制度の対象になるかどうかも確認しておくと良いでしょう。
・入院したときの室料
通常の健康保険の場合は、一般病棟に入ることになっています。ただ、希望すれば病院の状況によっては個室などにも入れます。例えば「他の人の寝息や物音が気になる」「1人でゆっくり過ごしたい」という場合は、希望すれば個室に入れるかもしれません。自分で希望した場合は、健康保険と室料との差額を自己負担する必要があります。
しかし、病院側の都合で個室などに入った場合は、差額を自己負担する必要はありません。病院側から個室に入るように指示された際は、「料金が高くなるのではないか」と不安になるかもしれませんが安心してください。
まとめ
本記事では保険外併用療養費制度について詳しく解説していきました。保険外併用療養費制度では保険対象外となる特定の治療や診療の一部料金を負担してもらえるため、自己負担額を減らせるのが特徴です。特別な医療を受けるときは、やはり料金がネックになって治療を迷ってしまう方もいるでしょう。しかし、保険外併用療養費制度の対象となっていれば自己負担額が軽減できるため、安心して治療を受けられるのが特徴です。
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