様々な業務をITツールを使って効率化するIT化は、今多くの企業で取り入れられています。その一方で、T化を検討しているものの、なかなか踏み出せない企業も少なくありません。その企業の1つが介護業界です。
そこで今回は、介護業界はなぜIT化に遅れているのか、IT化を進めていくための対策やIT化が必要な理由を紹介していきます。
目次
介護業界はなぜIT化が遅れているのか?
①.職員がIT機器を使いこなせない
②.IT機器導入のための知識がある職員が少ない
③.IT導入のコストがかかる
①職員がIT機器を使いこなせない
介護業界のIT化が進まない大きな理由は、職員がIT機器を使いこなせないという点です。介護施設で働く職員は20代〜40代が多いとされていますが、働く世代の幅は広く60代の職員もいます。
現在はスマートフォンの普及によりITに触れる機会は多くなりましたが、介護現場で使われるIT機器はスマートフォン型だけでなく、パソコン型など様々なものがあります。
そのため、IT機器を使いこなすことが難しいと感じてしまう職員が多く、なかなかIT化に踏み出せない状況なのです。
②IT機器導入のための知識がある職員が少ない
介護業界では今でも紙媒体の記録などが使われており、中には紙媒体の記録でないと施設間での記録のやり取りを受け付けないという施設もあります。
このような業界の特性から、介護業界はIT関係の知識がある職員が少ない傾向にあります。そのため、施設へのIT機器の導入がうまくいかないケースが多くあるのです。
③IT導入のコストがかかる
IT機器の導入には、多くのコストがかかります。ただツールを導入するだけではなく、活用するためにインターネット環境を整えたり、職員が使用する端末を揃えたりする必要があります。
さらには、クラウドサービスの場合は利用料などのランニングコスト、ソフトなどの場合はシステムの保守点検費用などがかかるのです。
導入時はもちろん、導入後も継続して利用するための料金がかかるため、企業の経営を圧迫しIT機器の導入が進まない原因になっているのです。
介護業界のIT化が必要な理由
①.少子高齢化と介護業界の人手不足
②.業務の効率化
③.ケアレスミスを防げる
①少子高齢化と介護業界の人手不足
少子高齢化が進む日本では、日本人のおよそ4人に1人が高齢者だと言われています。高齢者が増加するということは、介護を必要とする人が増えるということです。
一方で、介護業界の若年層の労働者は年々減少しています。人口が減少していることに加え、介護業に対する3K(きつい・汚い・危険)というイメージが定着していることも関係しているようです。
人材不足が大きな問題となっている介護業界をIT化することで、業務の負担を減らし労働者が働きやすい環境を作ることができるので、人材確保が期待できるようになります。
②業務の効率化
介護業界の人手不足によって、限られた人数で成果を出す必要があります。そのため、いかに効率よく作業することができるかが重要になります。
しかし、介護業界は紙媒体での作業が多く、何かケアをするたびに紙に記録を残すため作業に時間がかかり、残業をするスタッフも多くいます。
記録物をすべてIT化することで、手軽に記録を残すことができ清書する必要もありません。その結果、業務を溜め込むことが減り、業務時間を大幅に短縮することができるのです。
③ケアレスミスを防げる
手書きの書類では、字に癖があったり漢字の記入ミスなどで、正確に伝えることが難しくなってしまう場合があります。
また、伝達事項などを付箋やホワイトボードなどに書き込んでおくと、メモを紛失してしまったり、ホワイトボードを確認し忘れてしまった場合などに伝達漏れが生じてしまいます。1つの伝達漏れで、介護施設全体の信頼を失ってしまうことも。
こういったケアレスミスも、IT化することにより防ぐことができます。紙ではなくインターネットで情報を管理することで、正確に情報を伝えることができたり、伝達事項などを後からでも確認することができるようになります。
介護業界のIT化を進めていくためには
①.職員のITスキルの向上
②.職員が使いやすいIT機器の導入
①.職員のITスキルの向上
介護業界のIT化を進めていくには、職員のITスキルを向上することが鍵になります。
施設での教育でIT関連のスキルを習得できるよう、学習する期間を設けるなどして従業員が知識を身につけることができる場を作ると良いでしょう。
パソコンに不慣れな人も多いので、まずはマウスの使い方やキーボードの打ち方など、実際に触ってIT化は難しいという先入観を取り除くことが大切です。
②.職員が使いやすいIT機器の導入
IT化を図る上で、IT機器の選択も重要です。
タブレット型やスマートフォン型など様々なタイプがあるので、どれが使いやすいか慎重に選ぶようにしましょう。
初めのうちは、IT機器に不慣れな人でも使いやすいタイプを使用し、慣れてきたら本格的にIT化に進んでいくという流れがおすすめです。
まとめ
本記事では、介護業界がIT化に遅れている理由やIT化を進めていくための対策について解説しました。
介護業界がIT化することによって、業務時間の短縮・業務内容の効率化を図ることができるため、今後介護業界のIT化は避けて通れないと考えられます。介護業界がIT化を進めていくためには、従業員がIT機器に慣れ、難しいという先入観を取り除くことが大切です。
介護業界がIT化することで「少子高齢化」や「2025年問題」の対策にも繋がっていくので、本記事の内容を参考にIT化を検討してみましょう。