医療・介護業界では、患者や利用者の個人情報や機密データの保護が極めて重要です。セキュリティの脅威は日々進化しており、業界はそれに対応するために適切な対策を講じる必要があります。今回は医療・介護業界におけるセキュリティ対策の重要なポイントと対策方法を紹介します。
医療・介護業界におけるセキュリティ対策の重要なポイント
まずは医療・介護業界におけるセキュリティ対策の重要なポイントを見ていきましょう。
データを暗号化させる
患者の医療情報や個人情報などのデータを適切な暗号化技術を使用して保護する必要があります。暗号化することで、データを不正なアクセスや盗難から守れるため、機密性が確保されるでしょう。
アクセス制御と認証
データへのアクセス制御を実施し、必要な人物のみがデータにアクセスできるように制限することで、セキュリティーの強度を高められます。また、強力なパスワードポリシーや多要素認証を導入することで、不正アクセスを防止できるでしょう。
ネットワークセキュリティ対策を行う
医療・介護機関のネットワークには適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。ファイアウォールや侵入検知システムなどのセキュリティソリューションを導入し、ネットワークへの不正アクセスや攻撃から患者の情報を守りましょう。ただし、近年ではハッカーたちの実力も上がっているため、こまめにセキュリティ制度を見直したり、新たなセキュリティーソフトを取り入れたりなど対策を行うことが大切です。
セキュリティ教育とトレーニングを行う
従業員に対してセキュリティに関する教育とトレーニングを定期的に実施しましょう。個人情報の漏洩がどれだけ危険なことか、企業にとってもどのような損害が起きるのかなどを従業員全員に共有しておくことが大切です。また、個人情報を守るためのトレーニングを行うことで、従業員全員のセキュリティー対策における意識を高められるでしょう。
定期的なアップデート
システムやソフトウェアのセキュリティパッチやアップデートを定期的に実施しましょう。最新のセキュリティ対策を適用することで、既知の脆弱性や脅威から情報を守れます。一度セキュリティ体制を整えたら終わりではなく、最新の体制を取れるように環境を整えておくことが大切です。
バックアップと復旧計画
定期的かつ適切なバックアップ戦略を考え、重要なデータやシステムをバックアップすることが重要です。バックアップデータは別の場所に保存することで、災害時やデータ損失時にも迅速な復旧を行えるでしょう。また、復旧計画を綿密に練り、災害やアクシデント発生時にスムーズかつ迅速な復旧を実施できるように準備しておくことが大切です。
プライバシーの保護
患者や利用者の個人情報を適切に保護するためにも、プライバシーポリシーの策定と遵守が重要なポイントです。個人情報の取り扱いに関して厳格なガイドラインを定め、法的規制に準拠し、データの不正利用や漏洩を防止しましょう。
セキュリティ監視とアクシデント対応に力を入れる
セキュリティ監視システムを導入し、異常なアクティビティや攻撃をいち早く検知できるように体制を整えておきましょう。情報を守るためにも早期の脅威発見と適切なインシデント対応が重要なポイントです。アクシデントが発生した場合には、適切な手順で迅速かつ適切な対応を行う必要があります。
医療・介護業界でセキュリティ問題が起きたときの対策
セキュリティーアクシデントが発生した場合、以下の手順を参考に対策をとることが大切です。
1.緊急対応
アクシデントの範囲を把握し、被害を最小限に抑えるための緊急対応を行いましょう。システムやネットワークへのアクセスを制限する、感染しているシステムを切断する、被害を広げる可能性のあるサービスやプロセスを停止するなど、適切な処置を行うことが大切です。
2.アクシデントの調査
アクシデントの原因と範囲を明らかにするための調査を行います。ログの分析やマルウェアの解析、侵入経路の特定などをして、なぜアクシデントが起きたのかを明らかにしましょう。
3.インシデント対応計画の実施
事前に考えていた対応計画を実施します。計画に基づいて適切な手順で対応することで、迅速かつ効果的に復旧できるでしょう。
4.被害の修復
アクシデントによって損傷を受けたシステムやデータの修復を行います。バックアップからデータの復元をしたり、セキュリティを修正したりなどの対応が考えられます。また、修復作業では、セキュリティの強化やパッチ適用など、将来のアクシデントを防ぐための対策も検討しましょう。
5.インシデントの分析と改善
アクシデントが発生した原因を分析し、同様の問題が再発しないようにするための改善策を考えましょう。セキュリティ対策の強化やシステムのアップデート、従業員の教育・訓練など、継続的な改善活動が必要になります。
6.監視と予防策の強化
アクシデントの発生を防ぐために、セキュリティの監視体制を強化し、早期に異常を検知できるように体制を立て直しましょう。セキュリティソフトを最新のものにアップデートしたり、異常を検知するソフトを新たに取り入れたりなど、情報を監視できる環境を整えることが大切です。また、パスワードポリシーの運用など、予防策も積極的に実施しましょう。
7.従業員の教育と意識向上
セキュリティ意識の向上は、アクシデントの再発を防ぐためにも重要なポイントです。従業員に対してセキュリティ教育やトレーニングを実施し、セキュリティポリシーの理解と遵守を促しましょう。フィッシング攻撃やマルウェアの検知方法、パスワードの適切な管理などについても教育することで、アクシデントの防止にもつながります。
まとめ
すべての業界で同じことが言えますが、顧客の情報を守ることは、企業の信頼を守ることにもつながります。情報が漏洩すると第三者に悪用されたり、被害が広がったりなど多くのリスクがあります。社会的な信用を失う危険性もあるため、情報は厳重に管理しなければいけません。特に医療・介護業界では患者の症状に関わるデータなども管理しているため、定期的にセキュリティをアップデートすることが大切です。